つばさだより 2023.02.14

【2023.2月号】つばさだより No.339

 みやぎ保健企画では、日頃からいのちと暮し・平和や憲法を守る取り組みとして、医療・福祉など社会保障向上の活動や、憲法改悪に反対する活動を行っています。みなさんは、憲法というとどんなイメージがあるでしょうか?そもそも憲法とは何でしょうか?

 憲法には1条から103条まで様々な規定があり、基本原理として「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3大原理があります。

法律と憲法の違い

 そもそも法律と憲法では何が違うのでしょうか?一般の法律は社会の秩序を守るため、私たち国民に一定の義務を課しています。対して憲法は国民の権利や自由、人権を守るため国家権力を制限しています。つまり、法律と憲法では向いている方向が180度違うのです。

 さらに憲法は簡単に変えらないように、国会の衆参各議員の総議員3分の2以上の賛成による発議と国民投票が必要です。

立憲主義とは

 権力者は、自分たちの都合のいいように国民の権利や自由を制限しがちです。そのため、憲法によって国家権力の暴走に歯止めをかけておく必要があります。このように国家権力を制限し、憲法に基づく政治を行うことを立憲主義といいます。主権者である私たち国民が、憲法に忠実な政治を行う政治家や政党を選び投票し、当選した政治家や政党の政治活動をチェックする。そしてまた次の選挙で検討し投票をするといった流れが、あるべき立憲主義のサイクルと言えます。

 

最も重要な理念 個人の尊重

 さらに憲法では、最も重要な理念として「個人の尊重」が挙げられます。憲法では「すべて国民は、個人として尊重される。」(憲法13条)と規定しており、1人ひとりの人間を個人として尊重するということを最大の価値としています。この1人ひとりみんな個性があって素晴らしく、かけがえのない存在として生きる権利を「基本的人権」といいます。「基本的人権は侵すことの出来ない永久の権利」(憲法11条)として憲法によって規定されています。

 

憲法前文・憲法9条

 憲法では、先の第二次大戦による痛切な反省から、徹底した平和主義を宣言しています。憲法前文では「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」と述べ「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」を確認し、憲法9条による「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定めています。さらに「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べ、国際協調主義に立脚する立場を明確に宣言しています。つまり紛争解決を軍事力に頼るのではなく、中立的な立場から国際社会と協調し外交などを通じて、紛争の種を未然に排除し解決していくことを宣言しているのです。

 現在、ロシアによるウクライナ侵攻は、世界中に大きな衝撃を与えています。憲法9条では自衛も含めたすべての戦争を放棄し、戦力の保持も交戦権も否認しているため、仮に日本が他国から攻撃を受けても軍事力で対処することができません。そのため「攻められたらどうするのか」という批判があるのも事実です。しかし、現在の世界状況を冷静に見つめれば、日本国憲法が採用した安全保障のあり方は極めて現実的だということが分かります。

 

安全保障の脅威は軍事力だけではない

 現在の世界は相互に経済的依存関係にあるため、軍事力が介入できる案件は必然的に少なくならざるを得ません。また、世界規模で起きている地球温暖化による災害や新型コロナウィルス蔓延などは、一国の施策で解決できるものではなく、世界各国が協力し合わなければ解決できません。現在の世界で生じている様々な問題が、軍事力のみで解決不可能であることを考えれば、日本国憲法の平和主義や国際協調主義、9条の理念は、世界の常識からかけ離れたものでは決してありません。むしろ世界各国が参考にすべき憲法理念であるとさえ言えるのではないでしょうか。

 

憲法を生かした外交努力こそ

 政府・与党は今後5年間で防衛費総額を約43兆円とし、大幅に引き上げる方針を発表しました。こうした軍事力の強化は、地域の緊張を高め戦争の危険を呼び込みかねません。自民党の改憲草案では、9条を改正して自衛隊を明記し「集団的自衛権」を認め、さらに「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を認めようとしています。日本の守りに徹するという「専守防衛」が大きく変えられようとしています。今後、社会保障費の削減や増税が予想され、私たちの暮しや生活を大きく圧迫しかねません。憲法9条を生かした徹底的な外交努力こそ必要です。

【参考文献】

伊藤真の明快!日本国憲法、赤旗ホームページ、外務省ホームページ、

日本弁護士連合会:憲法って、何だろう?ホームページ

憲法学習 黒澤いつき氏


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