つばさだより 2022.12.26

【2022.11月号】つばさだより No.336

日増しに秋の終わりを感じる頃となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?今回は高尿酸血症についてのお話です。

高尿酸血症とは

 高尿酸血症の原因となるのは「尿酸」という物質です。尿酸は「プリン体」という物質がもとになって作られます。プリン体は食べ物や飲み物からとり入れられるほか、私たちの体内にも存在しており、肝臓で分解されることで尿酸ができます。尿酸は腎臓と腸で処理され、尿や便に含まれて体外へ排泄されます。

 正常な状態では、尿酸の「作られる量」と「排泄される量」のバランスがとれており体内の尿酸量は一定に保たれています。ところが何らかの原因で尿酸が作られすぎたり、うまく排泄できなかったりすると体内の尿酸量が増えてしまい、尿酸値が高くなります。この状態が「高尿酸血症」です。

 高尿酸血症が続き痛みの発作が起こるのが痛風です。一般に尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」と呼びます。

痛風発作の治療

 痛風発作が起こった場合、できるだけ早く薬を使って痛みを抑えることが大切です。

 基本的には、非ステロド系抗炎症薬(NSAIDs)を服用します。腎機能障害や胃潰瘍などがあって非ステロイド系抗炎症薬を使用できない場合や、非ステロイド系抗炎症薬を使っても十分な効果が得なれない場合は、ステロイド薬を服用します。

 一般に、痛風発作が起こってから12時間以内であれば、コルヒチンを服用することも有効です。コルヒチンには痛風発作を起こす白血球の働きを阻害して、痛風発作を抑制する作用があります。また、コルヒチンは、痛風発作が起こるのを未然に防ぐのにも有効です。

 痛風発作が起こる前には、「足の指がピリピリする」「足の指がムズムズする」などの前触れが起こることがあります。前触れがあった場合、コルヒチンを服用します。いずれの薬も医師の指示に従って服用してください。痛風が治まったら、間隔をあけて高尿酸血症の治療を開始します。

 

高尿酸血症の治療

 高尿酸血症を改善するためには生活習慣の見直しが基本ですが、尿酸値が高い状態が続くと腎臓病や心筋梗塞などが起こるリスクが高くなるため、薬による治療が検討されます。また、痛風が起こったことがある場合や、食事や運動などの生活習慣の改善を続けても尿酸値が8㎎/dL以下に下がらない場合も、薬による治療が検討されます。

 薬は高尿酸血症のタイプに応じて選択されます。「尿酸値をつくり過ぎるタイプ」と「尿酸を腸からうまく排泄できないタイプ」の場合は、尿酸をつくり過ぎないようにする薬(アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット)が使われます。「尿酸を腎臓からうまく排泄できないタイプ」の場合は、腎臓からの尿酸の排泄を促す薬(ベンズブロマロン、プロベネシド)が使われてきました。2020年からは、新たに尿酸再吸収阻害薬※のドチヌラドも使われるようになりました。

 薬は長期間続けるのが基本ですが、薬を使い始めて尿酸値が下がってくると、通院や薬をやめてしまう患者さんが多く、再び尿酸値が高くなり、気づいたら腎臓病が起こっていたということも少なくありません。高尿酸血症の治療では、自己判断で通院や薬の使用を中止しないことが重要です。

 

生活習慣の見直しを

 尿酸値を上げない食事や、適度な運動を継続することで、尿酸値が低い状態が数年間維持できれば、薬の量を減らしたり、いずれは薬を使う必要がなくなったりすることが期待できます。以下に5つのポイントをあげておきます。

〈参考文献〉今日の健康2020.1・2021.3、なるほど尿酸.com


 どちらの病院の処方箋でも受け付けています(在庫がない場合、準備にお時間を頂くことがあります)。
 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


 現在、つばさ薬局ではセントラルキッチン栄養士による栄養相談をコロナ感染拡大防止の関係で休止しておりますが、
 個別に栄養士の相談を受けることができます。ご希望の方はご遠慮なく職員にお申し出ください。