つばさだより 2022.06.09

【2022.6月号】つばさだより No.331

【脂質異常症とは…】

 血液中に含まれるLDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)などの血清脂質が基準値を超えて高い状態、もしくはHDLコレステロールなどの血清脂質が基準値よりも低い状態のことです。動脈硬化性疾患の危険因子であることから、発症予防に取り組みましょう。

 

【脂質異常症の診断基準】

 

【 食事内容 & 体質改善ポイント 】

「改善提案 その1」👉体重を適正にしましょう!!

 まず体に溜まっている余計な脂肪を減らしましょう。大人の場合、「身長(m)×身長(m)×22」を適正な体重(kg)の目安にします。適正より重い場合は、その体重に近づくように、エネルギーの摂取を調整しましょう。


「改善提案 その2」👉飽和脂肪酸摂取 < 不飽和脂肪酸摂取

 LDLコレステロールを血液中に溜めやすくする①「飽和脂肪酸」や②「工業的に作られたトランス脂肪酸」の摂取量を減らし、動脈硬化や高血圧予防に役立つ③「不飽和脂肪酸」を摂取するようにしましょう。食事からコレステロールの摂取を制限することも必要です。また、積極的にコレステロールを体外へ排泄するために、④「食物繊維」の摂取量を増やしましょう。

飽和脂肪酸の摂取量を減らすために

 肉類の脂身や鶏肉の皮、ラード、バター、乳脂肪などには、血中コレステロールを上げる作用のある飽和脂肪酸が多く含まれます。これらの動物性脂肪や脂身の多い肉を控え、赤身肉や脂身をとり除いた肉を食べましょう。牛乳も低脂肪乳にするとgoodです!!

工業的トランス脂肪酸の摂取量を減らすために

 工業的に作られたトランス脂肪酸とは、マーガリンやショートニングなどを使った食品や工場生産された揚げ物などに含まれています。揚げ物類やスナック菓子、パイ菓子、クッキー類などをはじめとした市販の洋菓子類には注意が必要です。

不飽和脂肪酸の摂取をするために

 EPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸は青魚類の脂肪に多く含まれます。1日に魚を1切れ程度、食べるようにしましょう。

食物繊維をとるために

 主食を精白度の低い胚芽米や麦飯、全粒粉のパン、蕎麦などにし、3度の食事ごとにたっぷりの野菜類・海藻・きのこ・こんにゃくなどを食べましょう。豆類や加工品である納豆にも多く含まれていますよ。


「改善提案 その3」👉トリグリセライド(中性脂肪)余分な合成をstop!

 トリグリセライド(中性脂肪)は肝臓で余分な糖質から合成されます。これを抑えるために、①糖質の摂取量を制限します。過剰なアルコールも、材料となります。②アルコール摂取制限は短期間で効果が現れるので、まずは禁酒か節酒をしましょう。一方、脂肪酸のうち、n-3系多価不飽和脂肪酸は肝臓でトリグリセライドを作りにくくするため、積極的に摂取するように心がけましょう。

糖質の摂取量を制限するために

 主食の大盛りやおかわりをやめ、菓子類を減らしましょう。甘い果物類も糖質を多く含むので、1日に1個程度にしておきましょう。甘い飲み物やジュースには糖質が多く含まれているため、無糖のお茶類にかえましょう。

アルコールの制限~ 上手にお酒と付き合いましょう

 節酒を指示された場合は、1日に日本酒なら1合、ビールなら350mL程度、ワインなら200mL程度までで楽しむようにしましょう。


「改善提案 その4」👉脂質の酸化を防ごう!!

 血液中の脂質が多いと、その脂質が酸化変性をうけて動脈硬化を起こしやすい状況になります。ビタミンC・ビタミンE・カロテノイド類やポリフェノール類などの酸化を防ぐ成分(抗酸化物質)を積極的に摂取するようにしましょう。

 

~抗酸化物質を摂るには~

 脂質異常症の予防や治療の基本は、食生活をはじめとする生活習慣を改善することです。様々な健康法が取り上げられ、情報が満ち溢れている今日、やはり大切なことは、「1日3食 バランスよく食べること」が基本になります。自分自身の食生活を見直してみましょう。

〈参考文献〉動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版

      日本動脈硬化学会2018・食事摂取基準2020年度版・e-ヘルスネット


 どちらの病院の処方箋でも受け付けています(在庫がない場合、準備にお時間を頂くことがあります)。
 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


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