つばさだより 2022.01.05

【2022.1月号】つばさだより No.326

コレステロールとは…?

 ヒトの体に存在する油(脂質)の一つで、悪者と思われがちですが、私たちの体を作る重要な役割を果たしています。

 コレステロールには、主としてLDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを血管を通じて体中の細胞に運ぶ働きをしています。血液中にLDLコレステロールが増えすぎると動脈硬化を進行させる要因となるため「悪玉」と呼ばれています。

 一方のHDLコレステロールは、いろいろな臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしていて、動脈硬化を抑える方向に作用するため「善玉」と呼ばれています。

 

脂質異常症とは…?

 悪玉のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(以下トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または善玉のHDLコレステロールが減った状態のことです。

 LDLコレステロールが高いと、血管の壁にコレステロールがたまりやすくなります。そうすると、血管にコレステロールがこぶのように盛り上がり、血液の流れが悪くなります。これが動脈硬化です。動脈硬化が進行し、血管が狭くなると、突然そのこぶが破れて出血し、血栓ができ血管が詰まる危険があります。特に危険なのは、心臓の冠状動脈で起こる心筋梗塞や狭心症、脳血管では脳梗塞でありいずれも生命にかかわるものです。

 脂質異常症は、高血圧や糖尿病と比べてあまり知られていませんが、厚生労働省の調査によると、患者さんの総数は約220万人(2019患者調査)とされており、その数は年々増えています。その理由として食生活の欧米化、運動不足などが関係していると考えられています。

 

〈脂質異常症診断基準〉

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150 mg/dL以上 高トリグリセライド血症
Non- HDLコレステロール 170 mg/dL以上 高non- HDLコレステロール血症
150~169 mg/dL 境界域高non- HDLコレステロール血症

 

脂質異常症の原因と改善方法

LDLコレステロール高値の原因 は、食事中の飽和脂肪酸のとりすぎがあげられます。飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉、ひき肉)・バターやチーズ、インスタント加工食品などに多く含まれます。LDLコレステロールが高い人で、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品をよく食べる人は、その量を控え、不飽和脂肪酸を積極的に摂取することで、LDLコレステロールを下げる効果が期待できます。


トリグリセライド高値 の原因は、エネルギー量のとりすぎ、特に甘いものや酒・油もの・糖質のとりすぎがあげられます。これらを改めて運動や減量を行うことが重要になってきます。


HDLコレステロール低値 はトリグリセライドの高値と連動することが多く、その要因は、肥満や喫煙・運動不足です。運動や減量・禁煙によりHDLコレステロールの上昇が見込まれます。また飲酒は、HDLコレステロールを高くする働きがありますが、高血圧や肝臓の働きを悪化させる危険性がありますので、過度な飲酒は控えましょう。

主な脂質異常症の治療薬

 生活習慣の改善を行っても、コレステロール値が下がらない場合は、薬による治療が開始になります。

 薬物治療の中心となる薬には以下のようなものがあります。

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン) 

 肝臓におけるコレステロール合成を抑え、主に血液中のLDLコレステロールを低下させ、動脈硬化などを予防します。


フィブラート系薬剤        

 肝臓での中性脂肪の産生を抑え、胆汁へのコレステロール排泄を増加させるので、肝臓や血液中の中性脂肪やコレステロールが減少します。


小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(エゼチミブ)

 小腸細胞にあるタンパク質を介してコレステロールの吸収を抑え、肝臓や血液中のコレステロールが減少します。

 薬物療法を始めたからといって、食事療法や運動療法を含む生活習慣の改善をやめずに、生活習慣の改善をきちんと続けることで、お薬の効果もより期待できるものとなるでしょう。

 

〈参考文献〉厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト、公益財団法人 日本心臓財団、

      生活習慣病オンライン、一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

 


 どちらの病院の処方箋でも受け付けています(在庫がない場合、準備にお時間を頂くことがあります)。
 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


 現在、つばさ薬局ではセントラルキッチン栄養士による栄養相談をコロナ感染拡大防止の関係で休止しておりますが、
 個別に栄養士の相談を受けることができます。ご希望の方はご遠慮なく職員にお申し出ください。