つばさだより 2022.08.04

【2022.8月号】つばさだより No.333

 暑さが増してきて、だるさやめまいなどの症状はでていませんか。その症状、もしかしたら貧血かもしれません。今回は貧血のお話です。

【貧血とは】

 貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなった状態のことです。ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ重要なはたらきをしています。しかし、ヘモグロビンの量が少なくなると運べる酸素の量も少なくなって全身が酸欠状態となり、めまいや立ちくらみ、頭痛などの様々な症状が現れるようになります。医療機関では、ヘモグロビンの値が成人男性で「13g/dL未満」成人女性で「12g/dL未満」80歳以上の場合は「11g/dL未満」で貧血と診断されます。

 

【貧血の種類】

鉄欠乏性貧血

 貧血の約60〜80%を占めるといわれます。へモグロビンの元となる鉄が不足することによって生じる貧血です。具体的には鉄の摂取不足のほか、妊娠・授乳による鉄の需要増加、月経や消化管からの出血などによっても不足することがあります。また、病気の治療などで胃を切除した場合、胃酸の分泌が少なくなることで鉄の吸収が弱くなることもあります。


巨赤芽球性貧血

 ビタミンB12や葉酸の不足で赤血球が減少することによって起こる貧血の総称です。赤血球が大きくなることから、巨赤芽球性貧血と呼ばれます。ビタミンB12が不足する原因としては、胃の壁細胞に対する自己抗体が生産されたり、胃を切除したりすることによってビタミンB12の吸収に必要な内因子が胃から分泌されにくくなることが挙げられます。また葉酸は、アルコールの飲みすぎや野菜などの摂取不足のほか、特定の薬物の服用によって吸収されにくくなることがあります。

 この他にも、腎性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血など様々な種類があります。

【貧血の症状】

 貧血では、体にうまく酸素が行き届かず「酸素不足」の状態になります。そのため、めまいや立ちくらみ、頭が重い、頭痛、耳鳴り、顔色が悪い、唇の色が悪い、動悸、息切れ、むくみ、疲れやすい、体がだるい、注意力低下といった様々な症状が起きてきます。

 また、時に無症状で、健康診断などで行われた血液検査の結果から貧血を指摘されることがあります。

 

【貧血の治療】

 貧血の治療では、まず貧血の原因となる病気が存在しないか確認するところから始め、原因が病気の場合にはそれに応じた治療を行います。

 鉄欠乏性貧血の治療は、不足している鉄を補うために鉄剤を使用するのが基本です。飲み薬が主で、1日1~2回服用します。通常2~3週間で症状は改善しますが、ここで治療をやめるとまたすぐに貧血になってしまうのでその後個人差はありますが、数ヶ月飲み続けます。

 鉄剤の副作用として、吐き気、胃痛、便秘などの胃腸障害がみられることもあります。副作用が強い場合には、服用する薬の種類を変更したり、適当な胃腸薬、下剤などが処方されることもあります。それでも副作用が気になる場合には、注射や小児用のシロップに変更する場合もあります。また、便が黒くなることがありますが、これは体内で吸収されなかった鉄によるものなのであまり気にしなくても問題ありません。
 鉄剤と一部の抗生剤などとの併用で、薬剤の吸収量が低下するなど飲み合わせに注意が必要な場合もあります。ご不明な点は薬剤師に相談して下さい。

 巨赤芽球性貧血の治療は、不足している栄養素の補充で、ビタミンB12製剤や葉酸製剤が使用されます。

【予防でサプリメントなどを摂取する場合の注意点】

 鉄剤を含むサプリメントは多く市販もされています。マルチビタミンなど複数のサプリメントを併用していたり、医薬品との相互作用や過剰摂取による健康被害が起きることもあります。つばさ薬局は地域の皆さんの健康を支える相談役です。不安な事がありましたらお気軽にお声がけください。

 

〈参考文献〉医師と患者をつなぐ医療・ヘルスケアプラットフォーム、調剤と情報(2022.3月)、NHK健康チャンネル


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 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


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