つばさだより 2022.07.06

【2022.7月号】つばさだより No.332

【骨粗鬆症とは…】

 骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨折してしまうと、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。骨粗鬆症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。骨折は本人が自覚していない場合もあり、診断のためにはレントゲン検査が必要になります。

 

【原因】

 からだの中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗鬆症では、このバランスが崩れ、骨がスカスカになっていきます。女性に多くみられる病気ですが、女性ホルモンが骨の代謝を調節しているため、閉経により女性ホルモンが減少することで発症しやすくなります。

 他には、加齢、栄養不足、運動不足、喫煙、過度な飲酒なども骨粗鬆症のリスクを高めます。骨量は20歳ごろに最大となり、その後40歳半ばまでほぼ横ばいで推移し、50歳近くから減少していきます。若いうちから食事や運動に気を配ることも大切です。

【治療薬】

 骨粗鬆症の治療を行う目的は、骨折を予防し骨格の健康を保って、歩行能力などの運動機能を維持していくことです。主な治療薬を紹介します。

カルシウム製剤

 骨に必要不可欠なカルシウムを補います。


活性型ビタミンD製剤

 骨代謝に欠かせないカルシウムやリンの腸での吸収を促進し、骨形成の促進・骨吸収の抑制によって骨量を増加さえる働きがあります。


ビスホスホネート製剤

 骨吸収を抑えることで骨量を増やす働きがあります。薬を飲む間隔も様々で、1日1回、1週間に1回、4週間に1回などのタイプがあります。


選択的エストロゲン受容体作動薬

 女性ホルモンのエストロゲンと同じ作用を発揮し、骨量を増やす効果があります。閉経後の骨粗鬆症の患者さんに使われます。


抗RANKL抗体

 RANKLとは、破骨細胞の形成・活性化などを促進するタンパク質です。この薬はRANKLに作用することで骨吸収を抑制し、骨量を増やす働きがあります。6か月に1回注射します。

 

【予防】

食事

 普段の食事から様々な栄養素をバランスよくとることが大事になりますが、特に重要な栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKです。カルシウムは骨のミネラル成分の重要な構成栄養素で、予防・治療に不可欠な栄養素です。ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収に影響します。ビタミンKは骨形成の促進、骨吸収の抑制する働きもあります。カルシウムの推奨摂取量は1日当たり700800mgと言われています。カルシウムを多く含む、牛乳・乳製品、骨ごと食べられる小魚、大豆製品などをとるように心がけましょう。

 ビタミンD1日当たり1020㎍が推奨されていて、多く含む食品は魚介類です。ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚でも作られます。無理のない程度に近所のお散歩などするとよいでしょう。

 ビタミンK1日当たり250300㎍が推奨されていて、多く含む食品は納豆や緑黄色野菜です。ただし、ビタミンKは血栓予防薬のワルファリンカリウム(ワーファリン)との相互作用が問題になりますので、薬剤師にご相談ください。


サプリメント

 普段の食事だけでは推奨量まで栄養素を摂取することが難しく、サプリメントを考える方もいらっしゃると思います。足りない栄養素をサプリメントで補うことは選択肢の一つだと思いますが、安易にサプリメントに頼ることは危ない面もあります。

 例えば、カルシウムを補充する薬を飲んでいる方が、サプリメントでもカルシウムをとってしまうとカルシウムが過剰になり高カルシウム血症という病気を引き起こす可能性があります。高カルシウム血症では吐き気や食欲不振、重症化すると昏睡などの症状が現れてしまいます。サプリメントを使用したい場合は、医師や薬剤師へご相談ください。


運動

 運動は骨粗鬆症の予防に重要です。骨は適度な圧力がかかることで強くなる性質があります。筋力の強化・維持も大切で、背筋を強化することで椎体(背骨)骨折の予防、運動機能を維持することで転倒を予防することができます。日光に当たることでビタミンDも作られます。無理のない程度にお散歩したり、少し遠くのお店に歩いて買い物に行くのもいいでしょう。

 

〈参考文献〉骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015、今日の治療薬、内科消化器内科リハビリテーション科往診在宅診療八木医院ホームページ・骨粗鬆症と骨密度検査、EISAI患者様・ご家族の皆様へ・骨粗鬆症、骨検ホームページ・よくわかる骨粗鬆症


 どちらの病院の処方箋でも受け付けています(在庫がない場合、準備にお時間を頂くことがあります)。
 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


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