つばさだより 2022.04.18

【2022.4月号】つばさだより No.329

 何らかの原因で腎臓の働きが低下したり、たんぱく尿が持続する状態を慢性腎臓病(CKD)と言います。腎臓の働きが低下すると水分、塩分、老廃物が尿として出されなくなり、血圧が上昇したり体内のさまざまな物質の濃度バランスも悪くなります。今月は国内では約1330万人いるとされているこの慢性腎臓病についてのお話です。

腎臓はどんな働きをしているの?

慢性腎臓病の症状と原因

 慢性腎臓病が進行すると、食欲不振、貧血、手足のむくみ、動悸や息切れ、骨が弱くなるなどの腎不全とよばれる症状が現れ、さらに進行すると人工的に老廃物を取りのぞくための透析治療が必要になります。透析治療を開始する原因で一番多いのは、糖尿病性腎症で42%、その次が高血圧や加齢による腎硬化症で16%、腎臓自体の障害で起こる慢性糸球体腎炎では15%です。細い血管が張めぐされた腎臓は糖尿病や高血圧による障害を受けやすいため、その治療が重要になります。

 慢性腎臓病の治療の目的は、これらの進行を抑え、腎不全や脳・心血管疾患の発症を防ぐことです。高齢化により増えている反面、かなり進行するまで気づかれにくいという特徴があります。早期に発見し、治療を開始することが重要です。

 

早期発見するには

 早期発見には血液と尿の検査が必要です。血液中の老廃物の一種であるクレアチニンの値が高いほど腎臓機能が低下しています。クレアチニンの値は筋肉量に比例し、男性は高い値になるため、これを年齢・性別で補正して「eGFR」という腎機能の値で判断します。eGFRが60未満では腎臓の働きが正常の60%未満であることが示され、この状態が3か月以上続くと慢性腎臓病と診断されます。

 また、たんぱくは正常であれば体に必要な成分として体循環へと戻されますが、正常に機能していないと尿に漏れだして「たんぱく尿」になります。たんぱく尿は「-」や「+」の数で表され、「±」以上の場合は慢性腎臓病が疑われます。

    糖尿病の人はたんぱく尿に変化が現れにくく、もうひとつの目安となる「微量アルブミン尿」の検査も必要です。早期発見のためには3か月から1年に1回は微量アルブミン尿の検査を受けましょう。

慢性腎臓病の治療

生活習慣の改善を行いましょう

 減塩が大切です。1日の摂取量を6g未満にしましょう。たんぱく質制限や野菜や果物に含まれるカリウム制限が必要な場合もあります。メタボリックシンドロームで進行しやすいので、適正体重を保ち散歩やスクワット等で筋力トレーニングを行いましょう。心臓病や脳卒中を抑えるために禁煙も重要です。


血圧と血糖値は厳しく管理しましょう

 診察室での血圧の目標値はたんぱく尿が出ていない場合は140mgHg/90㎎Hg未満、出ている場合は130mgHg/80mgHg未満が目安です。75歳以上の人は140mgHg/90mgHgを目標値にします。血糖値はHbA1c7.0%未満が目標です。

 

慢性腎臓病の治療薬

 治療薬は以下のように分類されます。

 早期に発見し適切な治療を受けて、腎臓をいたわってあげたいものです。


〈参考文献〉今日の健康2021年4月号、日本腎臓学会ホームページ

      旭化成ファーマ株式会社ホームページ


 どちらの病院の処方箋でも受け付けています(在庫がない場合、準備にお時間を頂くことがあります)。
 薬の情報をまとめて管理することで、より確実な飲み合わせのチェックができます。


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