
PFASとは?
PFAS(ピーファス、Per-and Polyfluoroalkyl Substances)は自然界には存在しない「フッ素を含む有機化合物(合成化合物)」の総称です。水や油をはじく特性があり、撥水・撥油性が高く、耐熱・耐薬品性に優れているため、様々な製品に使用されています。
また、PFASは「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれるほど分解されにくく、環境中や人体に蓄積しやすい特徴があります。特に、発がん性、免疫機能の低下、内分泌かく乱作用(ホルモン異常)など、健康への悪影響が指摘されています。
PFASの種類は、約1万種類以上あり、一旦体内に取り入れると体外排出期間が3~ 10年かかるともいわれています。PFASを使った生活用品の代表的なものとしては、防水スプレー、フライパンや鍋のフッ素樹脂加工、食品包装があり、工業製品では、防水衣類や軍事基地や工場などで使用する泡消火剤などに広く用いられています。
PFASの問題点は?
PFASの問題は大きく分けて以下の2点に集約されます。
1. 環境汚染
●PFASは河川や地下水に流出しやすく、水道水を通じて人の体に取り込まれる。
●一度汚染されると自然分解されにくいため、長期間にわたり環境と生態系に影響を与える。
2. 人体への影響
●免疫機能の低下、肝機能障害、甲状腺疾患、発がんリスクの増加が報告されている。
●妊婦や乳幼児への影響も懸念されており、出生体重の減少や発達障害との関連も指摘されている。
PFAS問題は世界的に大きな環境・健康リスクとして認識されており、規制の動きが進んでいるのです。
日本国内の状況は?
日本国内でもPFASの環境汚染が深刻化しています。特に、水道水や地下水の汚染が問題となっており、全国各地で高濃度のPFASが検出されています。
1. 沖縄県の事例
沖縄県では、米軍基地周辺の地下水や河川で高濃度のPFASが検出され、大きな問題となっています。特に、嘉手納基地や普天間基地周辺の水源で基準値を超えるPFASが確認され、住民の健康リスクが懸念されています。
2. 東京都の事例
東京都では、多摩地域の水道水から高濃度のPFASが検出され、住民の健康への影響が懸念されています。都は水道水の浄化対策を進めていますが、根本的な汚染原因の解明と対策が必要です。
3. 規制の遅れ
日本では、PFASの使用制限や排出規制が欧米に比べて遅れています。例えば、欧州連合(EU)やアメリカでは、特定のPFASの使用禁止や厳格な規制基準を設けていますが、日本では2023年に一部のPFAS(PFOS・PFOA)の規制が始まったばかりであり、まだ多くの種類のPFASが未規制のままです。
私たち地域住民に求められること
第一に、正確な情報の把握です。
PFAS問題は科学的に複雑であり、正確な情報収集が大事です。公的機関や研究機関が発信する情報を確認し、冷静に現状を理解することが重要です。自治体の発表や水質検査の結果にも注意を払いましょう。
第二に、適切な対応策の実践です。
PFASの摂取を抑えるため、汚染の可能性がある水源の利用を避ける、浄水器の導入を検討するなど、個人レベルでできる対策を講じることが大切です。また、PFASを含む製品の使用を減らすことも、環境負荷の低減につながります。
第三に、地域活動への参加です。
PFAS汚染の調査や対策は行政だけでなく、住民の協力も不可欠です。説明会や意見交換会に参加し、住民の立場から懸念や要望を伝えることで、より適切な対策が進むのではないでしょうか。また、汚染源の監視や改善を求める声を地域社会として発信することも重要です。
まとめ
2022年には仙台空港近くの井戸で高濃度のPFASが検出されています。全国的には、汚染地域の住民を対象に、血液検査や健康診断を実施し、PFASの影響をモニタリングする活動も徐々に広まっています。政府や自治体に対し、汚染地域の実態把握とPFAS規制の強化を求める働きかけがとても重要となっています。
【参考資料】
•全日本民医連第1回PFAS問題交流会_2024.9.14
•全日本民医連第2回PFAS問題交流会_2025.3.1
※ 栄養相談の日程は2025年です。